なんだかんだで東京五輪開催記念!
開催決定してから、数々のアレなことがあり、未だコロナ禍中ということから、一時は開催を危ぶまれた東京五輪ですが、遂に開幕。
個人的には、五輪どころではないだろと思っていたけど、開催してしまったのだからウダウダ言っても詮無い事と割り切り、精一杯応援していこうと思うのでした。
さて、みなさんは、開会式をご覧になったでしょうか?
NHK の YouTube チャンネルにて、ハイライトや一部演出がクローズアップされています。また、NHK 五輪公式サイトでは、フル動画も公開されているので、動画のリンクを貼っておくね。
【NHK】東京オリンピック開会式ハイライト | 東京オリンピック
東京五輪の流れはこんな感じ。
タイトル:
東京 2020 オリンピック 開会式
TOKYO 2020 Olympic Opening Ceremony
開催日程:
7月23日(金) / 東京 / 新国立競技場
開催時間
開演 / 20:00 , 終演 / 0:00
式 次 第
No.01
招致決定から 8年間の変遷
No.02
COVID-19 禍における選手の内心
No.03
天皇陛下御臨席
IOC会長他着席
日本国旗入場
三宅義信、高橋尚子、田畑百葉、井響希、土肥慶太、あさばみずき
国家演奏 / 国旗掲揚
歌手:MISIA
- 黙祷 -
踊り:森山未來
No.04
1964年大会からの遺産
Olympic Laurel 表彰
Muhammad Yunus
No.05
選手入場
01. ドラゴンクエスト・マーチ (「ドラゴンクエスト」シリーズ)
作曲:すぎやまこういち
02. 勝利のファンファーレ (「ファイナル・ファンタジー」シリーズ)
作曲:植松伸夫
03. スレイのテーマ~導師~ (「テイルズ・オブ」シリーズ)
作曲:桜庭統
04. 英雄の証 (「モンスターハンター」)
作曲:甲田雅人
05. Olympus Coliseum (「キングダムハーツ」)
作曲:下村陽子
06. カエルのテーマ (「クロノ・トリガー」)
作曲:光田康典
07. First Flight (「Ace Combat」)
作曲:小林啓樹
08. 王都 - 威風堂々 - (「テイルズ・オブ」シリーズ)
09. 旅立ちの風 (「モンスターハンター」)
作曲:鈴木まり香
10. ロボットのテーマ (「クロノ・トリガー」)
作曲:光田康典
11. Star Light Zone (「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」)
作曲:中村正人
12. eFootballwalk-on theme (「ウイニングイレブン」)
13. MAIN THEME (「ファイナル・ファンタジー」)
作曲:植松伸夫
14. Guardians (「ファンタシースターオンライン」)
作曲:小林秀聡
15. Hero's Fanfare (「キングダムハーツ」)
作曲:下村陽子
16. 01 ACT Ⅰ-1 (「グラディウス」)
作曲:古川元亮
17. イニシエノウタ (「NeiR」)
作曲:岡部啓一
歌手:Emi Evans
18. (「魔界吟遊詩-サガ」シリーズ)
編曲:山下康介
プロローグ
~ステスロス
~オーバーチュア
~涙を拭いて
~旅の幕あけ
~Roman
~バトルテーマ I
~オープニングタイトル19. The Brave New Stage of History (「ソウルキャリバー6」)
作曲:中鶴潤一
No.06
オリンピック宣誓
審判員:加藤将門 / 津崎明日美
アトラクション
ドローン演出
John Lennon"IMAGINE" 合唱
開催のあいさつ
大会組織委員 橋本聖子
IOC会長 Thomas Bach
開会宣言
No.07
ピクトグラム再現
No.08
開催場所紹介
歌舞伎十八番「暫」
演者:市川海老蔵
Spectrum
奏者:上原ひろみ
No.09
聖火台点火式
Opening Movie (BGM Queen ”Teo Torriatte”)
会場 BGM:Maurice Ravel ”Bolero”
→ 大橋博樹 / 北川純子
→ 土田和歌子
→ てらしまひろむ / すがわらちひろ / まつばらとわ / たかはしみつき / なかざわれん / あおきここな
→ 大坂なおみ
全体を通した感想
直前までごたごたした中で、最大限よく頑張ってくれてありがとうと、出演者に拍手を贈りたい。
むろん、完璧ではなかったし、「8年もあったのに何してたの?」という言葉もあるだろう。
振り返れば、東京五輪は利権の食い物にされていた印象が強い。そのせいで混乱があったといっても過言ではない。
そのしわ寄せをモロに受けたのは現場の方だ。政治の問題を現場の方に被せてはいけない。責めを受けるべきは五輪を食い物にした連中だからだ。
だから、現場で五輪を支え続けてくれた方々には、最大の敬意を払うべき。
ああすれば、こうすれば、というのは簡単だ。しかし、COVID-19 という未曽有の混乱の中、開催も危ぶまれた状況では、それは許されなかったのだ。
さて。全体を通して振り返ると、統一して演出の意図が感じられなかった。というのが本音だ。
もちろん、それぞれのパートでは、全力でパフォーマンスを繰り広げていたのはわかる。本来は、そうしたところを補うべき解説がつかなければならないところだが、NHK の実況は、その役割の半分くらいしか果たしていなかった。
準備の時間が足らなかったのか、ごたごた解任の影響もあってか、潤沢だったハズの予算がなく、時間も予算もないまま、視聴者には「しょぼい」と言われてしまう。実につらいところだが、五輪開会式のアトラクションとして、イマイチに感じたのは事実。
ひとえに、準備不足が目立った開会式である。
しかし、感動がなかったか?といえばそうではない。
MISIA による国家独唱、森山未來の魂鎮め/邪気祓いの舞、開会を高らかに告げるゲーム音楽のファンファーレ、ドローン演出、そして、ピクトグラム再現は素晴らしかった。
北関東から雨雲が南下する中、雨天にもならず無事開幕できたのは、めでたいことだ。
内側でのゴタゴタをよそに、大会としては素晴らしい内容になることを予感させる、良い開会式だったと感じました。
ガッカリポイント
開会式中に感じたガッカリポイントを紹介します。
まず、No.02
ここは、大規模なプロジェクションマッピングを用い、競技場全体で、五輪に向けて励む選手の内心を表していました。
五輪に向けて一心不乱に打ち込んできた。しかし、COVID-19 という問題が発生し、それどころじゃなくなった。しかし諦めきれない。そんな葛藤を、心情ではなく、体内をイメージして表現していました。
葛藤の末、細胞のひとつひとつにいたるまで、目標に邁進することで一致し、決意を新たに立ち上がるという物語(のハズ)
派手な演出ですが、派手な故にパフォーマーが目立たず、意図どおりの演出ができたとは思えませんでした。
次に、No.04
大工による演出です。ここのオチは、1964年大会に連なる流れがあります。
当時、参加国に木の種を持ち寄ってもらい、それを日本で育てるというプロジェクトがありました。No.04 の最後で木製の巨大五輪オブジェが完成するのですが、この木は、その種を育てたものです。
つまり、1964年から受け継がれ、ここに結実した証というわけです。
しかし、大工の演出はタップダンスで迫力に欠け、恰好も「大工」という和の要素に対し、パフォーマーの服装は洋装なので違和感もあり、かつ、セットがしょぼかった。
そして、No.08
歌舞伎とジャズ・ピアノのコラボということでしたが、それぞれがコラボしている感じは皆無でした。
歌舞伎の演目は「暫」。横暴な主人から善男善女を守るため、鎌倉権五郎が大暴れするという演目。
この意図は、世界が COVID-19 という脅威から守られるよう、無病息災を祈願したものだと思います。市川海老蔵が務めるのは、演目が歌舞伎十八番で市川宗家のもので、海老蔵は、COVID-19 が無ければ、第13第市川團十郎を襲名していたから。
そこまではわかりますが、これとジャズ・ピアノの繋がりが全くわかりませんでした。
良かったポイント
次に、良かったと感じたポイントを紹介します。
-黙祷-
本来、五輪のプログラムにはないもの。
東京五輪が、復興五輪としての側面をもっていることから、東日本震災の犠牲者と、COVID-19 で失われた多くの命に対する黙祷で、この前には森山未來による鎮魂と邪気祓いを彷彿させる舞がありました。
これは、この五輪では重要なことなので、プログラムに入っていて良かった。
No.05
オーケストラのチューニング・シーンから予期するものがありましたが、想像以上にテンションが上がった 01. でした。
海を渡り日本に集う勇者たちを迎えるに最高のマーチだといえます。
たとえ、01. を知らない人が聴いたとしても、開幕を告げるファンファーレ、力強いマーチは、五輪の入場行進曲として見劣りすると感じた人はいなかっただろうと思います。
この入場にあたっては、メーカーの偏りはありますが、行進曲として相応しい選曲に配慮された結果だと感じました。
「ゲーム音楽w」という方もいらっしゃると思いますが、ゲームというのはひとつの世界です。作曲者は、その世界を象徴するという楽曲を制作しています。それは、クラシックにおいて、祖国を想い、また、神話をモチーフに楽曲が作られるのと、差はないと思います。
「ゲーム」音楽ということで、サブカル的な評価におちつきがちですが、楽曲のもつ力というものを、東京五輪で再確認した気持ちです。
No.06
ドローンを用い、東京上空に描かれた東京五輪エンブレム、地球は、素晴らしかった!
多様性と調和という名目でなんでもアリ
直前まで問題が噴出し、この演出が予定どおりだったのか、知ることはできないけど、「日本に所縁のありものだったらなんでも使ったれ!」みたいな無節操さは、正直、嫌いじゃない。
それに、使われているところも意図も理解できるし。
Bolero
日本の次の大会はフランス。だからこその選曲だったと思う (※Bolero は仏作曲家 Ravel による作品)
ぼくはこの曲に、「命のつながり」というイメージを非常に強く持つ。
この開会式では、長嶋、王、松井の聖火リレーのところで、特に強くそれを感じてしまい、胸に迫るものがあった。
王、長嶋は、1964年、観客席で開会式を見ていた。そして月日が流れ、今度は聖火ランナーとしてフィールドに立つ。長嶋茂雄を支える松井秀喜の力強さ、盟友を気遣う王貞治の優しさ、そして、そんなふたりに支えられ、満足げに聖火を見つめる長嶋茂雄。同じ道を歩いてきた 3人が時を経てここで供にする。とても尊いと感じました。
No.07
いろいろ良いところはあったけど、開会式の中で最も良いと感じたのは、この「ピクトグラム再現」ですね。
ピクトグラムは、1964年東京五輪から採用された、五輪競技を図案化したもの。根田会のピクトグラムを、パフォーマンスで再現するというアトラクション。
既存に縛られない表現で、ピクトグラムを再現していく様は、日本のみならず、海外でも分かりやすいし、五輪のアトラクションとして申し分なかった。
アトラクション中、テニス→バドミントンの個所でラケットを落とすというミスがあったけど、このアトラクションの性質的にも、演じていたキャラクター的にも、このアトラクションの評価を下げるものでなく、より親しみやすい雰囲気を作れて、これはこれで成功だったと思う。
その他、五輪入場では「Chinese Taipei」だったけど、NHK 実況では「台湾」と呼び、中国に忖度しなかったことや、漫画の吹き出しをイメージした各国プラカード (表裏 英語/日本語 表記) 、入場順がアルファベットではなく、あいうえお順だったなど、日本ならではの良い部分があった。
そして、この日は、北関東で激しい雷雨が降っており、そのまま南下したら開会式中に大雨ということもあり得た。
しかし、天皇陛下御臨席ということで、東京五輪は神事扱いになったのか、天皇晴れに恵まれ、雨が降ることがなかった。
いろいろなことがあり、これからも起こるかもしれない。
しかし、この開会式が無事に行われて良かったし、いささかしょぼかったかもしれないけれど、ぼくは恥ずかしいとは感じなかった。