見せてもらおうか。ガンダム新作の先行上映とやらを。
※CAUTION※ ネタバレ含む ※CAUTION※

タイトル:
機動戦士 Gundam GQuuuuuuX - Beginning
上映会場:
TOHO CINEMAS 上野
上映時間:
80分
映画公式:
※CAUTION※ ネタバレ含む ※CAUTION※
本作を観に行く予定がある方、事前情報収集を目的としている方は、情報収集前に上映作品を観ることを強くおススメします。
【機動戦士ガンダムとは】
日本サンライズ (現:SUNRISE) 制作のロボット・アニメ。もしくは、そのシリーズ。
宇宙世紀という近未来の地球圏を舞台にした架空戦記で、モビル・スーツと呼ばれる巨大人型兵器同士が繰り広げる戦闘描写で好評を博した作品。
また、作中の登場人物のディテールも深く設定されており、その折々のドラマも重厚で 人気がある。
元となった「機動戦士ガンダム」は、1979年から放送されたテレビ・アニメ作品。
今回見てきた「GQuuuuuuX」は、このシリーズの最新作。劇場版は、本放送に先駆け、本編の世界観を広めるために制作された、いわゆる前日譚となる。
感 想
GQuuuuuuX の世界観は、機動戦士ガンダム の If 作品だということがわかった。
本作は、前後編に別れており、前半は「機動戦士ガンダム」のリメイク。後編はその6年後で、GQu6X 本編。
先ず、前編について。
「ガンダム大地に立つ!!」にて、ガンガムを起動したのが、アムロでなく、シャアだったら?という If 世界を描いた部分。
テレビ・アニメの 1年戦争の If 世界を、大胆にダイジェストでまとめていました。
こちらは、モビル・スーツの新規解釈に伴うリデザインが施されていて、そういうところからも If の世界線なんだなって意識付けがされていて Good 。
画面構成や音楽、演出は、機動戦士ガンダムを元に忠実に再現されていたけど、新解釈にともなう新規アクションも追加されていたり、If 世界で原作とどう違う時間経過があったかも、自然に説明されていて、その解釈がとても興味深かった。
基本、ガンダムをジオンが所有しているので、割と主人公ムーブするような補正もあった。
前半は、原作リスペクトを感じつつ、If 世界という設定を活かした新規解釈も披露され、ガンダムだなあという感じでした。
原作のアクションをリスペクトした描写と、新解釈による新規描写とが、自然に組み込まれていて、シーンとしてまとめるセンスの高さに脱帽。特に、ホワイトベースの前足の解釈には一本とられた感ある。
個人的に、冒頭の映像は、湾曲した映画館のスクリーンが、ザクのモノアイを経た景色のようにも見えて、最高にテンションが上がった!
後半の GQu6X 本編になると、一気にカラー風 (旧ガイナックス風と言っても良い) の世界観が強まり、めっちゃギャップを感じました。
なにせ原作に登場する人物は、当時のキャラデザに寄せたデザインで、GQu6X のキャラデザとは全くことなるのだから。
本作の主人公 アマテ・ユズリハが、巻き込まれてガンダムに乗り、戦績を挙げるという展開は、原作を踏襲していて、ガンダム的王道展開。
アマテがどうしてそうなのかは、今後のストーリー展開で明らかになっていくことだから、現時点では評価のしようはないので、気にしない。
それより気になったは、アマテにハマーン・カーンを想起させるしかけがしてある点だった。パイロット・スーツ、キュベレイ色だったよね?
舞台は、宇宙世紀 0085年で、ハマーン・カーンは 18歳。映画のワンシーンで「進路希望なんて書いた?」って会話があったから、アマテもそれくらい。
だから、ワンチャンある?
戦闘シーンはめっちゃ気合い入ってたね。
アマテの鼓動が急速に上がって行くのに合わせて、"Plazma" が挿入されるのは、めっちゃ上がって良かった。
そういや、Plasma じゃなくて Plazma なんやね。なんか意味あるんだろうけど、どういうことなんだろ。
そうそう、後編入って、舞台の世界観が変わったから仕方ないとはいっても、0079 から 0085 にしかなっていないんだから、使用している言葉の語感が、原作からかけ離れすぎているのが気になった。
ガンダムの世界線ではなく、旧ガイナックスの世界線の延長になってしまっていると感じた。前半が原作リスペクトが強く、丁寧に作られていた分、その丁寧さがリスペクトじゃなくて、禊のためだったの?ってわからなくなってしまった。
後編は、本放送に先駆けた、前説のためのダイジェストみたいな感じで作られたので、世界背景の説明の丁寧さに比べ、物語りが動くシーンの繋ぎがとびとびになってしまった感があります。物語部分は、キャラの魅力優先で繋いだのかもね。
なので、後編部分の評価は、本放送を観ないと、なんともいえません。
ガンダムという括りを外してみると、世界観、キャラデザ、使用される語感から、旧ガイナックス、もっと言ってしまえば、トップをねらえ2!、グレンラガン臭が凄く強い作品で、SUNRISE さが感じられないロボット・アニメです。
ワンチャン、トップをねらえ3! と言っても良い。
さて、そんな中、一番気になったのは、サイコフレーム作動して、ニュータイプ空間で、原作世界と繋がった感じの描写。
ぼくは、ユニコーン以降のサイコフレームやりすぎ描写があんま好きじゃないし、多次元宇宙展開から、原作世界への変な影響がないかちょっと心配。...不穏なものを感じてしまいました。
繋がっててもいいけど、ちゃんと、それは別の話しってしておいて欲しい。
前後編とおした感想は、とても面白かった。
ただ、GQuuuuuuX という作品は、原作の If 世界という設定だからこそ、超、人を選ぶ作品とだ思う。
とりあえず、観ないとわからない作品だから、みんなで観よう!
機動武闘伝Gガンダムだって、1話を観て、あんな面白い話しになるなんて思わなかったでしょ?
気になった箇所の解釈
・シャア・ガンダム
ビーム・ライフルの技術もジオンに渡ったので、ビットの銃口周りも、ビームライフルっぽいデザインになっているのがポイント。
シャアは結局、ララァほどのNT能力はなく、戦闘をこなしながらビット操作ってできないと思う。
だから、ガンダムには、ララァの脳が搭載されていて、補佐していたから、ああできたという解釈。
前半の最後、ソロモンに乗り込み、アルテイシアが搭乗する軽ガンキャノンを打ち抜こうした際、「大佐!いけません!」とばかりに介入したあたり、原作世界の出来事を想起させるよね。
また、サイコフレームの発動を促したのも同様、ララァだと思う。
ララァ (の脳) は、原作世界のララァと交信できてるのかも。
サイコフレーム発動後、シャアはララァと溶け合ってしまった (精神体だけの存在になってしまった) という解釈。
・ゼクノヴァ
サイコフレームの暴走状態のことだと思う。
GQu6X 世界でいう、ソロモンに大穴開けたやつ。
現象に名前がついているということは、何回か確認されたのかもしれない。
・ララァ
原作世界では、戦争孤児からシャアに保護されたという感じでした。
GQu6X 世界では、シャアとの接点はないので、ジオン軍参加はしていないのでは?との見方もあります。
しかし、GQu6X 世界でも、ソロモンもア・バオア・クーも陥落しているので、シャア、キシリア周り以外は、原作世界どおりの運命を辿り、グラナダ最終決戦までに、ザビ家の主要面子は亡くなっている感じという解釈です。
この辺、世界の主人公以外は運命から逃れられないみたいな拘りを感じました。
なのでララァも、シャア経由ではないにせよ、人体実験の材料としてフラナガン機関に買われ、そこれでNT能力の高さを見出されたのかもしれません。
・オブジェクト
サイコフレームのこと。
強力なNTであるララァが素体として参加しているので、機関のNT研究は、原作世界よりも遥かに進んでいて、なんかサイコフレームっぽいものも作れてしまった。
・軽ガンキャノン
ソロモン決戦で、シャアの前に立ちはだかったのは、ガンダムではなく軽ガンキャノンでした。そして、そのパイロットはアルテイシア。
GQu6X 世界では、ガンダムは強奪されてしまったので、ガンダムおよびその戦闘を活かして量産機を生産することができなかったので、代わりにガンキャノンが量産されたのでしょう。
軽というのは、コアブロック・システム (分離合体機構) を搭載しないということだと思います。あと、砲門も、双肩から右肩のみと、1門減っていた気がする。ほか、殺意高めの形をしたハンマーを装備している。
なぜアルテイシア (セイラさん) が搭乗していたかは、NT能力を有し、MS を操縦でき、そして、軟弱でないクルーがセイラさんだったということなのかも。
・アムロについて
テム・レイ博士が存命なので、一緒に避難したのでしょう。
また、ホワイト・ベースもないので、合流することもなかった可能性もあります。
もしかしたら、セイラさんのメカニックやってる可能性があるかもしれません。
・シャリア・ブル
TVアニメ版 (原作世界) にチョイ役って感じで出演。劇場版には出番なし。
GQu6X で大抜擢?と思いきや、小説版では、シャアの副官的な感じだったから、GQu6X は、小説版の If 世界ということもありえる。
・キケロガ
原作世界のブラウ・ブロのような機体。
ブラウ・ブロは、3人以上で運用するモビル・アーマーだったけど、GQu6X ではシャリア・ブルのみで運用されているっぽい。
名前の差別化を図るため、別の名称となったと思われる。
ただ、原作には登場していないけど、ニュー・タイプ専用機として同名のモビル・スーツの設定があるので、ややこしくはある。
兄であるシャア・アズナブル (キャスバル・レム・ダイクン) が、ザビ家への復讐を果たす局面で、その前に立ちはだかったのは、妹だった。
シャアは、軽キャノンに乗っているのがセイラだと気が付き、戦意が消えたのに対し、セイラは、兄への殺意マシマシで攻撃を仕掛けたのは、原作どおり。
原作どおり、成り行きで軍属になったのか、それとも兄の悪事を察して志願したのかはわからないが、アムロがガンダムに乗らない世界線で、(おそらく) アムロのような戦績を挙げ、エース・パイロットに成長したと思われる。
あと、しれっとドズル閣下を倒してる。
最終決算で、コンペイトウ (ソロモンを占拠した地球連邦軍においての拠点名) から脱出していたので、GQu6X 本編にも登場すると予想される。
ザビ家絶対殺すマン。
最終決戦、キシリアは総大将ムーブがハマっていて、原作世界での小悪党感はなくなったが、シャアはやぱシャアだったので、現状打開のためにコンペイトウへ殴り込みをかけたと見せかけ、グラナダごとキシリアを殺そうとしていた。
裏切りはしていたものの、結果、セイラに阻まれ、時間内にミッションを達成することができなかったため、キシリアを裏切っても裏切らなくて結果は変わらなかったあたり、とてもシャアっぽい。
それで、グラナダに落ちるしかなかったコンペイトウを、(おそらく) サイコフレームの力で激突回避してしまい、ジオン的、ザビ家的、キシリア的に英雄として語り継がれる存在に昇華したのも、最高にシャア。