白雪姫的な何かを観てきたよ。
何かと酷評されているみたいだけど、つまらなくは無かったし、最後までちゃんと観見ることができた。
※CAUTION※ ネタバレ含む ※CAUTION※
タイトル:
白雪姫
Snow White
字幕版
上映会場:
TOHO CINEMAS 上野
上映時間:
109分
映画公式:
改めまして。
ディズニー実写映画「白雪姫」を観てきました。
何かと酷評する声を多く聞きましたが、新解釈・白雪姫という感じで鑑賞すれば、そんな酷くなくない?ぼくは、最後まで楽しめたよ。
なんつっても、物語の中の世界が、実際にあったらどんな感じなのかな?ってを体験できるのは、白雪姫が好きな人にとっては、それだけでも観た甲斐を感じるかも。
色鮮やかな景色、物語の中では描かれない、人々の暮らし、王国の雰囲気、作品のイメージを深める一助になりえるんじゃないかな。
いろいろ言われてた Rachel Zegler 。やっぱ歌唱力ぱねーっす。
表情豊かに、軽やかに歌い、踊るシーンは、「ウエスト・サイド物語」でも堪能しましたが、ちょっと比肩しうる人、いないレベルだよね。
ただ、白雪姫の気品は感じられませんでした。
Rachel Zegler の白雪姫は、健気で可憐とは思っても、姫って感じの気品、白雪姫の儚さは感じられなかったんだよね。
どうしても、ウェスト・サイド物語のイメージに引っ張られてしまい、姫っていうか、街娘って感じに映ってしまった。
不満続きになってしまうけど、本作で追加された「オリジナル要素」もよくわからなかった。
白雪姫と命名されたのは、吹雪の夜を生き抜いたからっぽい。
いや、流石に無理があるでしょ。
それなら、「雪が積もり、お城が白銀に覆われた日に生まれたことから~」みたいな方が、まだ納得できた。
あと、王様が生きてる内に、継母が女王となっていたり、ちょっと展開が雑過ぎない?
5分前くらいに「王と妃、その娘」とか説明してた気がするんだが。
妃が亡くなって、継母に魅入られたシーンもよくわからなかった。
魅入られた割には、白雪姫を大事にしている感じだし、正気っぽかった。
(継母との出会いのシーンでは、(魔法で) 魅了されたような感じがあった)
森に潜伏しているレジスタンスの扱いも雑だった。
なんか脚本が「私の解釈では、小人じゃなくて女王に反抗するレジスタンスなんだよ!」とか言い出して、「バカかてめー!白雪姫つったら7人の小人がでてこなくてどうすんだよ!」って対立したのを、「じゃあ、両方入れりゃいーじゃねーか!」ってやっつけ作業したような雑さがあった。
原作では、隣国の王子に嫁いだ白雪姫だったけど、本作では、人々の心に平和な王国だった頃の記憶を呼び覚まし、祖国を奪還する。これは、「強いアメリカを取り戻すために一致団結しましょう」的なメッセージが見え隠れしているようで、ほんとしょうもなかった。それを、有色人種の女性が率いているって構図も含めて、ポリコレってほんとしょーもないと、ガチで辟易させられた。
原作を改変してまで主張することかね。
白雪姫にそんなモン求めてねー!
全体を通した演出は、アニメーションの白雪姫を意識した感じで、演技も、表情や動作の表現が、映画やミュージカルというより、アニメ特有の拡張表現 (caricature) を再現したかのような演技だと感じました。
不評の声が多い「7人の小人」についても、いうほど不気味とは思いませんでしたし、逆に、絵本などで描かれる小人の特徴を、よく落とし込んでるなと感心しました。
ぼくがダメだったのは、動物の方。もっとアニメ調のキャラデザで良かったんじゃないかな。
他に気になったのは、シーンごとに過去の映画作品をモチーフにしてんのかな?ってとこがちょこちょこあったこと。
描かれた世界観は、おとぎ話というより箱庭って感じで、物語の中の景色という感じではなかった。
たとえば、お城の雰囲気や、森のシーンは、「Maleficent」 って感じがしたし、「アナ雪2」っぽさもあった。
夜の恐ろしい森の様子、森の中を馬に乗って駆けるシーンは、「ネバーエンディング・ストーリー」 。
小人たちが仕事をしている様子は、「インディ・ジョーンズ」。
冒頭や終演間際にあった、街中でのダンス・シーンは、「ウエスト・サイド物語」。
と言った具合で、あまりオリジナリティを感じませんでした。
こんな感じで、映画の雰囲気が白雪姫的な雰囲気で統一されていないと感じたこともあり、「一体、何を観ているんだっけ?」となってしまったってワケ。
そうそう、本作は、ポリコレに配慮した作品であるという前評判を聞いた。
言うほど配慮してるかな?
アジア人すっくなってなったわ。
やっぱ、欧米でのアジア人は、白人、黒人よりだいぶ下なんやね。って哀しい現実を再確認する羽目になるとは思わなかった。
楽しめたよ。と冒頭に言った割には、めっちゃ不満ばかり書いてしまったので、良かった点も紹介しておくね。
なんと言っても、女王役の Gal Gadot の存在感が良かった。
本作で追加された、女王のミュージカル・シーンも素晴らしかった。
小柄な Rachel Zegler に対し、長身である Gal Gadot を女王にという配役は、邪悪な女王が幼い姫を威圧するという構図がめっちゃわかりやすかったし、基本、アニメの雰囲気で邪悪な女王 (いじわるな継母ということではない) を演ずるというは、存外に難しいことだと思います。
それを、変にギャグになるでもなく、本作でたったひとりの悪役という、超重要な役を演じきったは、ほんと素晴らしい。
そう。ミュージカル・シーンは、どれも力が入っていて、素晴らしかった。
まあ、今作には「王子さま」は登場しないので、その歌はハミングだけだったのは、設定的にしょうがないよね。
要素のひとつひとつは、酷評されるほどのものではないと思います。
しかし、白雪姫という原作を改変してまで、本作を世に出さねばならなかったのか?と問われれば、疑問しか残りません。
特に、原作とは異なるオリジナル要素部分は、冗長で扱いが雑であるため、「その設定、いる?」という疑問しか沸き上がりません。
また、どこかで見たようなシーンが多く、ディズニーのクリエイティブは枯れてしまったのか?と心配になりました。
原作愛が強い方にはおススメできませんが、飽きて途中で寝るみたいな作品ではないので、ご興味があれば、足を運んでみても良いと思います。
まさかの白雪姫 pic.twitter.com/0377AjoeoJ
— でゅら~ (@deulah2002) 2025年3月27日
※蛇足※
最後、王様は生きてて帰還すると思っていたのに、普通に女王にやられててがっかり。
死んでるなら、ペンダントを通して思念を伝えるくらいのファンタジーあってもよかっただろ!