でゅら~の暇つぶし

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【レポート】映画 " BLUE GIANT " (2023.02.23)

 BLUE GIANT を観た。

 去年ね。

 ネタバレ含むよ。

 原作漫画の方の割と最新巻の方。

 

bluegiant-movie.jp/

 

タイトル:

  BLUE GIANT 

上映会場:

  TOHO CINEMAS 新宿

上映時間:

  120分

映画公式:

bluegiant-movie.jp

 

BLUE GIANT とは】

 石塚真一が描くジャズ漫画。

 仙台に住む普通の高校生だった宮本大が、ジャズという音楽に魅了され、世界一のジャズ・プレイヤーを目指す道程を描いた作品。

 ただ漠然と音楽を描くのではなく、普通の生活、ジャズマンとして生計を立てることの難しさと言った、なおざりにされそうなところまで細かく描写しているのが特徴。

 

【 感 想 】

 BLUE GIANT 原作漫画は、このレポートを投稿した 2024年3月4日時点で、シリーズ計 31巻が刊行されている。

 本作品は、このファースト・シーズン「BLUE GIANT」全10巻を、映画用に再構築し、120分にまとめたもの。

 だから、どうしても説明が足らない部分がでてくる。

 本作品とは、ファースト・シーズン後半にスポットを当て、大、雪祈、玉田 (劇中の呼称) の 3人が、SO BLUE のステージに立つまで、そして、その後に少し触れる感じでまとめている。

 

 まあ、なんつーか、良かったよなあ。

 とても原作愛にあふれていたし、音楽も素晴らしかった。

 

 ただ、ラスト付近の展開は、原作とは異なるので、そこが賛否の分かれるところだとは思う、

 ぼくが、観てすぐこのレポートを投稿しなかったのも、その辺が理由。

 それでも、原作で立てなかった SO BLUE のステージに雪祈が立ち、ピアノをプレイしていたシーンは、涙なしではいられなかった。

 映画館への来場者は、やはり原作ファンの方が多かったんだろうね。そこかしこで漏れる嗚咽が聴こえました。

 それくらい感情移入できる良作ということ。

 

 ここで少し、原作漫画の方に触れます。

 「BLUE GIANT EXPLORER」の 9巻で、大と雪祈が同じステージに立ちます。

 最高にエモかった。

 20巻分の万感の想いがそこにあった。

 当然といえば当然だけど、やはりこちらが本筋なんだなあ。と腑に落ちた気がした。

 海外に旅立つ前、SO BLUE でプレイしていたら、ボストンでああはならなかっただろう。

 だから、この映画は、あくまでも if ストーリーって感じで観るのがいいと思う、

 ただ、SO BLUE のシーンを見て落とした涙がウソなのか?というとそうではないので、誤解なきよう。

 どちらも胸にせまるものがあった。

 

 本作にここまで惹きこまれるのは、やはり音楽の力が大きい。

 音楽は、上原ひろみが監修していて、そのこだわりが凄かった。

 プロのミュージシャンに、素人が成長していく過程を感じさせる音を鳴らせる。

 120分という人生を語るにはとても短い時間で、素人が成長していく (徐々に上達していく) ことが伝わる音を表現するというオーダー。そして、それを実現させる技量。常人のこだわりじゃないと感じた。

 多くの場合、プロが下手風に叩いたって、どうしてもプロっぽくなってしまう。しかし、玉田のドラムは、どう聞いてもドラマーにもなれてない駆け出しの状態から、作中で徐々にドラマーっぽくなっていった。

 画面の絵の表現だけではなく、音でもそれを感じるから、シーンの持つ説得力が違うんだよね。

 

 本作の音楽は素晴らしかったけど、映像はどうだったのかというと、SO BLUE までのライブ・シーンの 3D 演出は、微妙だった。

 ちょっと粗めの前時代やすっぽい 3Dモデルで、動きのパターンもあまり多くなかった気がする。

 ただ、白シャツに淡いブルーの照明が落ちているシーンは、原作漫画の雰囲気があって、とても良かった。

 また、SO BLUE のステージでは、これまでの悲喜交交そして、原作漫画の表現をうまく映像に昇華させ、とても迫力と 2D,3D を織り交ぜたヴァリエーションを感じさせるすばらしい演出だった。

 個人的に、音の粒のひとつひとつが弾け、混ざり合って音楽になっていくようで、とても夢見心地になれた。

 そう考えると、最初にしょぼく感じたのは、ギャップを作ったとも言えなくないかな?

 

 つまり、どういう映画なのか?

 映画 BLUE GIANT とは、ジャズに興味を持たせる。また、すでにジャズ・ファンである方々にとっては、更にジャズを語りたくなる。そんな映画だと思います。

 

 ただ気になったのは、「映画を見てサントラを欲しくなりました」という意見は多かったけど、「ジャズのアルバムを買いました」という意見はほとんど見なかったこと。

 ...もしかすると、原作漫画のファンだけを増やした可能性がある。

 原作漫画のファンは増え、ちょっとシャレオツな店舗の BGM もジャズだったりするのに、ジャズのライブ、あんま増えてないもんなあ。

 

 最後にまとめると、映画「BLUE GIANT」は、原作ファンにおすすめできる作品ってこと。

 特に音楽は素晴らしいので、音楽が好きな方は要チェック!

 そして、原作漫画「BLUE GIANT」のとっかかりとしても有効。

 原作漫画は新章が始まり 1巻が発売されたので、いまからでも原作を追うのは遅くないよ。