「解任 508人 vs 続投 14,710人」結果やいかに?
カナダの高校で、「私は Iron Maiden が好き」という意味の SNS 投稿をした校長をめぐり、父兄と生徒が対立しているというニュースを紹介しました。
お互いの主張はというと...
父兄「学校校長のアカウントで "666" とか悪魔崇拝的な投稿をするとは何事だ!教育家として相応しくない!解任しろ!」
生徒「今時 "666=悪魔崇拝" なんて短絡的思考恥ずかしくないの?それに、校長先生は、素晴らしい実績を残してる!続投だ!」
という具合。
それからどうした?という話しを紹介しよう。
結果...
父兄側の change.orag
生徒側の change.org
つまり、父兄側が change.org の署名収集を取下げたことで、生徒側が勝ったっぽい。
ちなみに、最終的な署名数は...
解任 498人 → 508人 → 553人 +55人
続投 14,286人 → 14,710人→ 22,982人 +8,696人
※20211005 7:00時点、20211005 8:30時点、20211015 12:00時点の集計結果と、6日間の増加人数 の順
まったくあいてにならなかったね...
ぼくが分かる範囲では、「父兄が署名収集を取下げた」というところまでなので、「生徒たちが勝った」というのは、あくまで憶測でしかありません。
教育委員会もこんなバカなことで異動はしないでしょう。せいぜいなにか指導があったとしても、「パブリック・アカウントで趣味の活動報告を投稿するのは控えるように」くらいでしょう。
父兄がこれを取下げたということは、「自分たちは恥ずかしいことをしている」という認識をもったからでしょう。まさかこれ以上の恥の上塗りはしないと思います。
あと、「地域の問題を change.org みたいな世界でも署名できるもので判断するなんて」という意見もあるかと思いますが、先にやったのは父兄ですし...
この一連の出来事で思い出すのは、PMRC (Parents Music Resource Center) にまつわる話しだ。
この中でも特に印象深いのは、PMRC 設立時に公表された「特に不愉快な楽曲15」 に、Twisted Sister "We're not gonna take it" が「過度に暴力的な表現を含む楽曲」でノミネートされたこと。
この楽曲には暴力的な表現などはなく、「親の過干渉へ子供の立場から No をつきつけた」内容で、どちらかと言えば教育的な内容が色濃い作品である。
なのにこの楽曲が「暴力的」とされたのは、この MV の印象に引きずられたにすぎない。
Twisted Sister - We're Not Gonna Take It (Official Music Video)
「過激な反社会的表現が誇張された楽曲に、子供たちが悪影響を受けないようにしましょう」という目的で設立された PMRC が、その本質を見ず、好き勝手にレッテルを貼っていたのと、このエデン高校で起こった騒動とは、根っこが一緒だ。
ひとは同じ過ちを繰り返さないように歴史を学ぶはずだが、こういうのをみると、人間は成長せず、同じ過ちを繰り返し続けるのではないかと、暗澹たる気持ちになる。
そんな中、生徒たちが単なる反発心ではなく、自らが冷静に考え判断した結果、正しい行動ができたのだとすれば、少なくとも "We're not gonna take it" という楽曲が世に出た価値はあったのだろうと思え、前向きになれるというものだ。
参考画像 Parental Advisory ステッカー
(未成年に相応しくないと判断された楽曲が含まれる CD にはこれが貼られる)
メタラー諸氏なら意識せずとも見たことがあるかも。