謎のイベント、Tokyo Music Collection 2026 は、中止になりました。
なぜなのか。
※免責事項※
本記事の収支計算および中止理由の推測は、公開されている一般的な会場費や市場相場から独自に算出したエンターテイメントとしての考察であり、事実を断定するものではありません。

タイトル:
※開催中止※
Tokyo Music Collection 2026
LINE UP:
ALI (東京)
ASH DA HERO (東京)
KACHISAN (韓国)
Kroi (東京)
MONGOL800 (沖縄)
OWV (吉本興業)
Protea* (プラチナムピクセル)
ROTTENGRAFFTY (京都)
SILENT SIREN (プラチナムピクセル)
SPARK!!SOUND!!SHOW!! (大阪)
TOTALFAT (東京)
The Canbellz
VALHALLA
開催日程:
6月27日(土) ~ 28日(日) / 東京 / 有明アリーナ ※開催中止※
TICKET:
アーリー・チケット ¥5,800-
前売券 ¥6,500-
公演公式:
6月27日~28日に開催を予定していた Tokyo Music Collection ですが、開催中止が発表されています。
参戦予定の方々は、中止となっておりますので、ご注意ください。
2026年5月16日、突如、新規音楽フェス開催の発表がありました。それが、Tokyo Music Collection 2026 (以下、TMC) です。
まあ、音楽フェスブームですし、新規開催は珍しくありません。しかし、5月16日に発表されたにも関わらず、開催日は 6月28日だったんですよ。
そして、そんな短期間で開催されるにも関わらず、早期購入者割引のあるアーリー・チケットという券種があるのにも驚かされました。
さらには、そのチケット価格が、アーリー・チケット¥5,800-、前売券¥6,500-という、有明アリーナ開催のフェスとしては「バグっている」価格設定であること。その上、TOTALFAT や ROTTENGRAFFTY といった、フェス常連の有名バンドを含む計 13 組が出演することにも驚かされました。しかし、極めつけに驚いたのは、6月28日だけでなく、27日も開催されるという事実でした。
なにを言っているかわからないと思います。ぼくもそうです。
なので、これを見たみなさん、思ったのではないでしょうか。「これ、大丈夫か?」と。
どうして「大丈夫?」なのか、順にひも解いていきましょう。
まず、最初発表を見てみましょう。
「Tokyo Music Collection 2026」開催決定
有明アリーナにて2026年6月28日(日)開催 — ジャンルと世代を超えたアーティストが集結株式会社STONE.B
2026年5月16日 12時00分
そう、本イベント、最初は 6月28日のみの開催告知でした。
それが、いつの間にか 27日も開催となりました。
これは、正式にプレス・リリースがあったわけではなく、「なんかよくわからないけど二日開催になったっぽい」ってレベルの出来事です。
この辺は予想になりますが...
①大本は、2日開催を計画していた。(という予想)
②6月28日有明で開催と公式発表
③チケットガイドでは、6月27日~28日でチケット販売
④公式サイトで、6月27日の開催中止を発表
⑤諸般の問題で、イベント自体を中止すると発表
もともとは二日開催でプロジェクトがスタートしたものの、②では 6月28日単日開催で決まっていた。③でチケットガイドの設定を、一日開催に変更するのを忘れてしまった。その後、二日開催でチケット販売開始してしまい、間違いが発覚。④あわてて 27日中止の発表を行ったことで、公式サイトの記載が、28日の日程欄には中止が記載されず、⑤でイベント自体が中止となったとき、サイトトップにイベント中止の案内が掲載されることになったけど、もともとあった開催日程の欄の情報更新するのは忘れてしまった。ということなのではないかと思います。
開催日時
2026.06.27 (SAT)
6月27日(土)に予定しておりました「Tokyo Music Collection」につきまして、諸事情により中止とさせていただくこととなりました。
お客様には大変ご迷惑をおかけいたしますこと、深くお詫び申し上げます。2026.06.28 (SUN)
開場 9:30 · 開演 10:00
tokyomusiccollection2026.com/
上記は、公式サイトより、開催日情報欄のスクリーン・ショットです。
冒頭のとおり、イベントは二日間とも中止ですが、サイトの開催日情報では、6月27日だけが中止になったようになっています。
これは、前述のとおり、運営側にヒューマン・エラーがあったことを伺わせる内容です。
次の「大丈夫?」は、バグったチケット価格です。
正直、前売一般チケットの ¥6,500- という価格設定は、都市部のライブハウス 1ステージ分のチケット価格にギリ届くか?という値付けです。
有明アリーナは、15,000人収容の施設です。
ステージを組むので、最大収容はできないので、多めに見込んで 10,000人としましょう。
すると、 ¥6,500- × 10,000人 = ¥65,000,000- がチケット収入となります。
会場利用料はどうでしょう。有明アリーナ利用料は、下図の通りです。
平日準備、土曜準備、日曜本番だと仮定します。
会場利用料だけで ¥13,200,000- となります。
さらに、ステージ/会場設営、機材レンタル、搬入搬出に伴う人件費を大雑把にそれぞれ ¥10,000,000- とします。設備は設置しただけでは、ライブで印象的な照明や映像を使った演出、効率的なステージ転換は行えません。そういった演出込みの設営と考えると、¥50,000,000- くらいにはなるのではないでしょうか。
ここまでの単純な 最低限の コスト見積りで、¥63,200,000- が吹き飛んでしまいます。これは、チケット売上のほぼ全額に相当します。この料金に、出演料や当日の警備、運営スタッフなどの人件費が加わります。
以上のことから、もはや、イベントとして成立しない価格設定だと思います。

では、最初からそんな見通しなのに、なぜ、開催しようとしたのでしょうか?
それは、主催・運営元の企業にあります。
この企業は、株式会社Stone.B と言い、ライブストリーミングサービス mahocast を運営しています。つまり、有料配信による売上を見込んでいたのでしょう。また、PR TIMES では「KBS WORLD を通して世界170ヵ国に放送する」という記載もあり、収入源としては、チケット×放送×配信という目論見のようです。
一見良さそうな目論見ですね。上手くいけば、低価格チケットでも開催できたのでしょう。
しかし、実際には中止となりました。
では、何が問題だったのでしょう?
まず、放送について考えてみましょう。
放送先は、世界 170ヵ国と記載されています。しかし、その需要があるのは日本と韓国しかありません。また、出演バンドのほとんどが日本出身であり、韓国内での明確な需要が少ないことも問題です。
つまり、公共放送である KBS が、イベントの放送権を買うわけがないということを意味します。
だから、この放送は、運営会社が KBSから放送枠を買い、放送するのでしょう。
つぎに、配信について考えました。
今回、発表が突然だったということもあり、わりと、配信による収入が本命だった可能性があります。
配信チケットの価格は、ライブ・チケットの半額くらいじゃないでしょうか?しかし、このイベントでは、意図してチケット価格を抑えているので、配信の方は少し高めになると思います。具体的には ¥4,000- くらいですかね。
本イベントは、Fuji Rock や Summer Sonic のような歴史のある音楽フェスではありませんし、どうでしょう。多くて ¥20,000,000- くらいの収入ってところじゃないでしょうか。正直、厳しいと思います。
売上と費用についていろいろ考えてみました。
TMC 収支簡易シミュレート
売上
チケット販売 ¥65,000,000-
配信チケット販売 ¥20,000,000-
収入合計:¥85,000,000-・・・①
費用
会場利用料 ¥13,200,000-
設備・演出 ¥50,000,000-
出演料(旅費込) ¥10,000,000-
人件費 ¥10,000,000-
光熱費 ¥10,000,000-
費用合計:¥93,200,000-・・・②
収益(見込)
①△②=△8,200,000-
※このシミュレートは、あくまで個人の予想に基づく数値であり、TMCの実際の収支に関する根拠には基づいておりません。
¥8,200,000- の赤字という予想になりました。
一応、チケット売上については最大の予測をしていますから、赤字はもっと大きいかもしれません。それこそ、開催中止を発表した方がマシと判断させるくらいの。
初回開催のフェスなので、最初は赤字でも良いという覚悟があったと思います。でなければ、初回開催なのに、イベント名にナンバリングを入れないと思います。
この中止は、単にその許容範囲を超えたのだと思います。
イベント開催告知が直前になったのは、初回ゆえ、一気に発表して話題性を高める工夫だったのかもしれません。
しかし、日本では、予めチケットを買っておくという習慣なので、直前告知はリスクでしかないと思います。
時期的に、夏フェスの詳細が発表され、チケット購買意識が高まる時期ですし、本公演の開催発表は、期待していたほど話題性を高める効果を生まなかったのかもしれないのと同時に、本イベントのチケット購入意欲を刺激するまでいかなかったことも考えられますね。
あ、あと、開催コンセプトがピンとこなかったのも問題かも。
よくわからないコンセプトのイベントは、ちょっと避けられる傾向があると思います。
日本のライブロックシーンを代表するアーティストたちが、有明アリーナに集結。
ベテランから次世代を担う新鋭バンドまで、“日本ロックライブシーンの本物”を一つのステージに凝縮した、ロックフェスティバルを開催いたします。
「京都ラウドシーン」の激しさ、
「沖縄メロディシーン」の独創性、
「東京ミクスチャーシーン」の多様性――。
各地域で独自の進化を遂げてきた日本ロックカルチャーが交差し、
日本ライブシーンの“現在”を体感できる特別な一日。ライブハウスで培われてきた圧倒的な熱量とリアルなサウンドを、
東京の新ランドマーク・有明アリーナから国内外へ発信。さらに、本公演の模様は KBS World を通じて世界170ヵ国へ放送予定。
日本発ライブカルチャーの熱狂を、グローバルへ届けます。
ラインナップは良いし、チケット価格もめちゃくちゃ安く、若年層も安心して参戦できる良フェスでしたが、このような結果になってしまい、残念です。
