Black Sabbath ”War Pigs” の意訳で、「War Pigs には前のVerがある」と紹介したので、そちらの意訳もやらないと、片手落ちだよねって話し。
Black Sabbath 公式チャンネルでは音源が見当たらなかったので、検索してヒットした動画を紹介します。
タイトル:Walpurgis (War Pigs demo)
作 詞:Tony Iommi, Geezer Butler, Bill Ward, and Ozzy Osbourne.
作 曲:Tony Iommi, Geezer Butler, Bill Ward, and Ozzy Osbourne.
収録作品:Black Sabbath「The Peel Sessions 1970」
Witches gather at black masses
Bodies burning in red ashes
On the hill the church in ruins
Is the scene of evil doings
It's the place for all black sinners
Watch them eating dead rat's innards
I guess it's the same
Wherever you may go
Oh, Lord, yeah!
Carry banners which denounce the lord
See me rotting in my grave
See them anoint my head with dead rat's blood
See them stick this stake through me
Lord hold me back I just gotta go
They got a hold of my soul now
Lord can my brain escape what blood I'm seeing
Look in my eyes and bear it all, yeah!
On the scene, a priest appears
Sinners falling at his knees
Satan sends out funeral pyre
Casts the priest into the fire
It's the place for all bad sinners
Watch them eating dead rat's innards
I guess its the same
Wherever you may go
Oh, Lord, yeah!

Walpurgis 意訳
丘の上の廃教会で、
今夜魔女たちの集いがある。
薪の代わりに死体がくべられる狂宴。
きっと、ロクでもない悪だくみが計画されていることだろう。
独房には禁忌を犯した罪人が収容され
どいつもこいつも
同胞の死体にたかるネズミをかじり、飢えをしのいでいるようだ
なんとおぞましいこと!
磔刑にかけられ、今わの際にあるわが身を見よ
そして、私の信仰が朽ちて行く様を、指を咥えて見ているがいい
その時、我は聖油 (穢れたネズミの血) で清め、闇の洗礼を受け入れ、
主への叛旗を掲げよう
主よ、私の魂は穢されてしまいました!
すぐ傍に私を誘惑する悪魔がいるのです!
この血の呪縛から、お救いください!
あなたの御手に全てを委ねます。
激しい嵐の夜、一夜の雨風をしのぐため、廃教会に司祭が訪れた。
罪人たちは、一縷の望みを託し、彼に膝を折る。
が、しかし、次の瞬間、サタンによって荼毘に付されてしまった。
...
そこには禁忌を犯した罪人が収容され
どいつもこいつも
同胞の死体にたかるネズミをかじり、飢えをしのいでいるようだ
なんておぞましいことだ!
うっかりサタンと魔女の饗宴にでくわしてしまい、結果、堕天してしまった司祭。
堕天する際、神を恨む気持ちと、その御業によって救ってほしいという、相反する想いが交錯する、内面の葛藤を表現しつつ、結局、サタンからは逃れることはできなかった。
そんな感じで意訳してみました。
この "Walpurgis" の方が、Black Sabbath のオカルト、悪魔的世界観に合っている気がします。
ただ、このままリリースした場合、もしかしたら発禁処分を受けるかも?1970年って、まだそういう時代だったんじゃないかと思います。
だから、このまま発表されず、"War Pigs" としてリリースされて良かった。
時代的には、ベトナム戦争が泥沼化して、世界に厭戦気分が渦巻いていたタイミングでしょうから、”War Pigs”が受け入れられたのでしょう。
ここでリリースしたのが、”Walpurgis” か "War Pigs" かで、もしかしたら、その後の Black Sabbath が辿った道は、変わっていたかもしれませんね。
The Place
独房のことを指します。
教会に独房なんてあるの?と思わないでもないけど、教会にも反省室みたいなものはあるだろうし、隔離された部屋なら、独房でいいでしょって感じで意訳しました。
Black Sinners
禁忌を犯した罪人
単なる罪人ではなく、「Black」と付いていることから、宗教上のタブーを犯したって意味をもたせたかったので、こうしました。
Watch them eating dead rat's innards
I guess it's the same
Wherever you may go
Oh, Lord, yeah!
独房の中の様子を説明している段です。
直訳みたいにすると、「死んだネズミの内臓を食べている」になるかと思います。
しかし、それだと冗長じゃないかと感じたので、シンプルにネズミを食べた感じにしました。
そうして読み直してみたのですが、後に続く「おぞましさ」とは離れた描写になってしまったので、おぞましさを感じるよう、「同胞の死体にたかるネズミをかじり」としました。
次に、「I Guess」 なので、全部確認したわけじゃなく、同時に「Wherever you may go」なので、「どうせどこも同じだろ?確認しなくてもだいたいわかるわ」って感じでまとめました。
Carry banners which denounce the lord
See me rotting in my grave
「叛旗を掲げる」に掛けたかったので、堕天する際、朽ちていくのは何か?と考えたとき、神への信仰だろうという着想から、このような意訳になりました。
See them anoint my head with dead rat's blood
See them stick this stake through me
anoint は、洗礼の時に用いられる 聖油のことです。
しかしこれは、堕天の儀式なので、そのまま「聖油」ではなく、() で但し書きを添えて、邪悪な洗礼を受ける様子として意訳しました。
杭で刺されたわが身とは、磔刑にかけられたキリストを想起させる歌詞ですよね。
文節ごとに訳すると、状況が連続しない感じがしたので、順番を入れ替えています。
Look in my eyes and bear it all,
ここが一番わからなかった。
直訳すると「私の目を見て全てをさらけ出す」って感じだと思います。
これ、司祭の良心が発しても、主でも、サタンでも、誰が発しても意味としては成立するので、誰が発したのか見当が付きませんでした。
しかしこの段は、司祭の良心が神に助けを求める感じなので、「自分の中にまだ信仰は生きているから、どうか助けて欲しい。でも、それを押し付けるのではなく、神の審判を受け入れる」という感じにしました。
Satan sends out funeral pyre
Casts the priest into the fire
「司祭を火にくべ、火葬の儀式を行った」って意味になると思うけど、「荼毘に付す」と訳した方が、日本的にはわかりやすいと思ったんですよね。
「荼毘に付す」は、思いっきり仏教用語なので、用法的には間違いですが、ここではイメージしやすさを優先しています。
最後の部分で、歌詞の冒頭へリンクし、廃教会での狂宴で、薪の代わりにくべられていた死体は司祭であることがわかります。
魔女の悪だくみとは、この司祭を罠にハメて、堕天させることにあったって感じで、全部読むと、全貌がわかるような物語に仕上げました。
